自転車


 幼い頃(幼稚園くらい)私はいろんなところに行った日などをよく覚えていたらしい。もちろんそのほとんどは今は忘れたけど。それでも補助輪なしで自転車に乗れた日は今も覚えている(確か1984年の10月20日)。
 小3の夏、父親と自転車で近くの本屋に行った。そこで買い物を済ませた後父親は言った「親戚の家にでも行ってみるか?」。そこで急遽同じ市内の家から10キロほどの距離にある親戚の家に自転車で行くことになった。暑い中1時間ほどで行くことができた。以後数回同じ事をやった。
 中学生になるにあたり新しい自転車を買うことになった。友達に安いMTBに乗っている奴がいたので自分もそのような自転車が欲しくなった。あまり物欲のなかった私だが何故か自転車はそんなのを選んだ。たしか4,5万くらい(自分で払ったわけではありませんが)。高3まではそれで過ごした。2回ほど盗難にあったもののいずれも見つけることができた。
 高3の体育祭の数日前、クラスで夜遅くまで練習をして終バスで帰った後バス停から家までの途中、歩道の段差に自転車がつまづき、転んだ。そのときの事故でそのMTBは使えなくなってしまった。私も眼鏡を割り顔を怪我した。打ち所が悪かったならそれこそ失明していたのかもしれない。それでもそこから家までは歩いて10分ほどでいける距離だったので帰ろうとしたのだが、たまたま通りすがりの人から見た私はひどい状態だったらしく(そりゃ顔面から血を流していれば)、帰り途中にあった消防署に連れて行かれそこから初めて救急車というものに乗った。治療を受けその日のうちに家に帰ったものの、翌日通院する必要があり、その一日のために私は高校の皆勤を逃した。
 家から高校までは17キロほど。普段はバスを利用して通学していたその道をいつか走ってみたいと思った。高校までの道は特にたいした坂もない。ある日美術の課題で新潟市内の風景を書く課題があり、その題材となる写真を新潟市内で撮る必要があった。そこで自転車で高校まで行ってみることにした。1時間ほどで行けた。以降バス定期の切れ目などに数回自転車通学を試みる。
 高校の時は部活に所属せずにいた。そして一年の浪人期間があった私はすっかり運動不足になっていた。体重はやせていたがその割には体脂肪率が高く(といっても普通の人に比べれば低いのですが:当時は183cm・62kgで体脂肪率18%ほどでした)、コレステロール値が気になっていた(200を少し越えるくらいでした)。だから大学に入ったときは何か運動系のサークルに入りたかった。しかし私は運動が苦手だった。50メートルは8秒くらいで瞬発力がなく、1500メートルは6分台で持久力があるわけでもない。とりわけ筋力は駄目だった。ベンチプレスの50kgは絶対揚げられない。そんなだから得意なスポーツはなかった。だからあまり運動神経の関係ないものにしたかった。競技色の薄いところにしたかった。そしてこれという趣味がない状態だったのでそれを作りたかった。そしてそれは大学を出ても続けられるものにしたかった。そんな自分が選ぶ運動系サークル、といったら登山や自転車とかになってしまう。そしてサークルに入ろうとしたもう一つの理由に、大学の長い休みに何かをしたかったというのがあった。バイトというのもあったけど、はたしてそこで稼いだお金の使い道は・・・と思うと何かしたかった。そこで自転車ツーリングというのを考えた。それなら長い休みをうまく使えそう。また自転車だったら自分のペースでできる。自転車は身近なものである。・・・そんな感じで自転車を選んだ。運動会の自転車部もあったが週3くらいのトレーニングがうざいと思ったのでサークルの方へ行く。・・・と書いたもののこれは入学早々から決めていたことではない。サークルオリの時点では決めておらず、また知らないところを回るということに抵抗があったため消極的な私はどこにも行っていない。面倒だからどこにも入らなくてもいいか、と思った。しかしその数日後、これではいけないと思い300枚以上のサークルビラが入った袋を取り出し、その自転車サークルを見つけ、そして新勧コンパの前日にそこに電話をかけた。他の運動サークルには面倒だから行かなかった。だからその分自転車サークルには初めから所属する気持ちで行った。1ヶ月たつといよいよ自転車を買うことになる。もともとMTBに慣れていたということとどこにでも行けるという事に引かれ10万円ほどのMTBを買う。



つづく・・・次回は全県制覇のことなどについて書きたいと思います。