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A  road  for

―そして47へ―

0 A  flight for 鹿児島 (プロローグ)

 1年夏からツーリングを始め、着々と全県制覇への道は進んでいた。当初この夏は福岡(飛行機)か門司(電車)あたりから走り始め、山陰を通り合宿地まで行こうと思っていた。そして秋休みor来春に全県制覇達成!…のはずだった。しかしある時ある考えが浮かんだ。「いっぺんに行ってしまえばいいではないか…」。計画をいろいろ立てるうちに、うちの学科は秋休みがないことがわかった。もう3年だし、だんだん時間はなくなってくる。そして一度浮かんだ考えは消去しずらい…ということで鹿児島(未走破)スタートに決めた。それにより今回は過去最長の日数&距離の前ランをすることに…そのうえ夏である。北海道に行く人達がいるのに一人鹿児島である。夏なのに鹿児島スタートである…。鹿児島に行く際、まず最初に立ちふさがった難関が鹿児島までの移動手段だった。もはやスカイメイトは僕にとって使い物にならなくなっていた。春に沖縄に行ったとき、便を選べば飛行機は安くなることがわかった。しかし春に多くあった得割得便得売り設定が東京→鹿児島間では夏にはまったくないことを知り愕然とした。東京→鹿児島間の正規料金\33000。とてもこの値段で行く気はしない。ネットで格安チケットを探し、ホットドッグという名前が胡散臭い会社から\18000で買うことに成功し、ほぼスカイメイトと同額で鹿児島まで行くことに成功したのであった。
鹿児島空港

A  road  for 佐多岬

 佐多岬に行かなければ、もう一日ツーリングに余裕が生まれていただろう。単に全県制覇をするなら別に行く必要はない、日本最南端波照間島はすでに行っている、佐多岬はピストンである、山の中である、市街地から遠い、ナイトランをしなければならない、時間をうまく合わせなければならない…それなのに…長いツーリング、とりあえず最初の2日間はそこを目指して…。

724日 果てからのスタート  (東京)−鹿児島空港―桜島 54キロ


別荘前にある像
 20日から夏休みが始まり休み5日目にて出発することに。予約した便は午後1時発。午前より午後のほうが安かったので午後にした。早起きする必要もなく余裕である。羽田から鹿児島までは約2時間。そういえばJASは初めてだ。やはり機内では寝られなかった。飛行機or夜行列車で寝るのは苦手だ。この日の鹿児島空港は羽田と同じくらいの気温だった。輪行をとき荷物を付けて3時半に出発!山の中、まっぷる69境目の鹿児島空港よりまずはしばらく下る。すると道端に西郷どんの像が!さすが鹿児島である。この像のある日当山温泉近くには西郷どんの別荘があった場所だ。そこからさらに進むと鹿児島神宮の表示があったのでとりあえず行く事にする。…オーバーランで隼人駅に出てしまった、表示がわかりづらいぞ!で、戻って行ってみたものの、鹿児島神宮は人の気配がなく静かだった。今度は隼人塚というところに行ってみる。併設の資料館は8月オープンだった。錦江湾に出る。R10に入る。桜島が見える。加治木町ではくも合戦が行われる。鹿児島市に入ったとこでパンクする。初日からなんてついてないなあ。たいしたことないんでさっさと直す。しかしここでの修理が後々に影響することに…。

西郷別荘
 市街地に行く。R3,10、58、225が交わる中央公園で定番の西郷どんの銅像を見つける。天文館通のアーケード街のこむらさきで鹿児島ラーメンとする。大盛にする。店を出るころには暗くなっていた。しかし東京に比べて日が長い(この日の日没は7時半頃)。鹿児島市内は温泉があちこちにある。桜島フェリー近くの「かごっま(方言で鹿児島はこう言う)温泉」というところに入る。走り初めが3時半だし体力は全然余裕だった。桜島フェリーに乗る。24時間運行にびっくり。そして桜島を時計回りに走り出したものの、辺りは真っ暗。走り出してすぐにコインランドリーがあったのでそこへ。本来は腰掛けるところであろうと思われる、表面が畳の台で寝る。夜中人は一人来ただけだった。しかし久しぶりの野宿のせいか、あまり疲れていなかったせいか寝づらかった。別に夜は暑くなかったはずだけど。
鹿児島市内にある銅像
725日 佐多day  桜島―指宿―佐多岬 150キロ
 こんなに人気のないところなら荷物を置いていっても大丈夫だろう、と思いコインランドリーに荷物を置き軽量化して桜島を一周することに。昨日と反対側から錦江湾を見る。霧島が見える。桜島北部はあまり開発されていない。ちょっと急勾配のところがある。木々で視界の開けないところもある。やがて出た視界の開けたところは昭和溶岩地帯という火山岩防空壕なんてものがあるところ。初めて平地におけるメットの必要性を感じたところだった。さらに先には桜島噴火の火山灰で埋没した鳥居がある。噴火の恐怖を知った。北部に比べて桜島南部の道は国道ということもあり整備されている。その分トラックも多いけど。湯の平展望台に行こうとしたものの、食料なし水分なし小銭なし(自販機使用不可)であり、まだまだ今日は長いと思ったので、ついひよってしまった。南部ではこれから行こうとする薩摩・大隈両半島が見える。一周を達成し荷物を回収しフェリーで再び鹿児島市街へ。朝飯を食べてなかったので船内でさつま揚げうどんを食べる。乗ったフェリーは815分発30分着ということで船内のテレビでちゅらさんを見る。R225並走の県道217産業道路はまあまあ。ひたすら錦江湾に沿う。10時を過ぎ暑くなり始めたので道の駅喜入でアイス休憩。指宿からは池田湖へ。湖畔にはイッシーの像が。一緒にクッシーもなぜかあった。それと池田湖には世界一大きいうなぎの伝説がある。まっぷる掲載の店「いろり」は合掌造り。奄美鶏飯を食べようと入ったものの、この日は土用の丑の日であり、うな丼が3割引となっていたのでそちらに流れてしまう。池田湖に巨大うなぎがいるかどうかはわからない。でもうなぎを安く食べられればそれでいいのだ。ついてきた酢の物はゴーヤーを薄切りしたものだった。

池田湖

イッシーとクッシー
 薩摩富士こと開聞岳の方向へ下る。途中西大山というところを通りちょっと迷いながら山川天然温泉へ。行って定休日を確認すると…水曜日…今日ではないか!砂風呂に入りリフレッシュしてからフェリーに乗ろうと思ったのに。仕方なくフェリーの山川港へ。出航までは1時間数分。指宿市内の砂蒸し風呂に行くには少し時間が足りない。仕方なくフェリー乗り場で休み時間をつぶす。錦江湾対岸の根占港までは40分。後のことを考えると少し時間に余裕があり、山川で行けなかったぶん、港近くの温泉「ネッピー」に行く。

開聞岳を望む

 17:00根占出発。海岸道は遠くに対岸の開聞岳が見える。そしてこれから行く地も。18:15佐多町市街地着。買出しをする。18:30佐多町市街地発。岬に行くはずの道はどんどん山の中へ。佐多岬ロードパークウェイ、まっぷるには夏季18:00閉門と書いてあるが、それは岬方面の進入が18:00で終了であり、岬から市街地へ戻る方は19:00で終了だった(場所は一緒)。19:15佐多岬ロードパークウェイゲート突破。南国の木々が迎える。山中の道を狸が横切る。アップダウンが激しい。海が近いという感じがしない。沈みゆく夕日が山々を真っ赤に照らす。一度長い下りがあり再びゲートがあったのでそれを越える。その先に光が見え到着を期待したもののそこはまだロードパークウェイの半分に過ぎないところにある集落だった。いよいよ日没、暗くなる。3つ目のゲートを越え再び登る。31度線の表示が見える。昼間専用の道は当然照明などなく真っ暗だ。距離的にはたいしたことないはずなのに、ナイトランには慣れているはずなのにやたら疲れる。これが本土最南端を自転車で目指す者の最後の試練なのか?ツーリング経験をつんだ今だからこそこれる場所だと感じた。

20:00佐多岬駐車場着。そこからトンネルがありその先には木々が生い茂る道がある。トンネルの入り口付近には売店があり本土最南端証明書と旗があった。しかしもちろんこの時間には人がいるはずもない。商品の入ったガラスの棚は固く閉ざされていた。1年前に宗谷岬の旗を自転車後ろに差して夏合宿に行ったように、今年も同じことをやりたかったができなかった。トンネルの出口は雲が多くやたら暗い。岬までの道のりは少し不鮮明である。こんな暗い中わざわざ進んで岬に立ちすぐに戻ってもしょうがないと思った。戻る気力もなかった。トンネルの中の売店横、唯一の光源である自販機の傍ら、そこで北海道最東端納沙布岬、沖縄最北端辺戸岬に次いで3度目の岬野宿をすることに……。

夜が明けゆく佐多岬
 翌日4:30起床。少しずつ辺りが明るくなってゆく。4:50準備をしてトンネルの向こうへ。木々が生い茂る道を進む。5:08日本本土最南端佐多岬着。自転車でゲートを突破したどり着いたものだけが見ることのできる光景。そう思うと何か特別なものを感じた…。

A  road  for  大宰府

 全県制覇のため佐賀を通り北九州方面にぬけるつもりであった。「電波少年」の企画で、東大合格を目指した坂本ちゃんのために彼の相方が東京からママチャリで大宰府まで行き受験のお守りを買う、というのがあった。7月31日、81日がちょうど志村の院試の日であった。…志村の院試に向けて、大宰府に行き絵馬をかけてくる、という目標を立てて、次は大宰府を目指すことにしたのであった…。

726日 岬  佐多岬―都井岬(宮崎南部) 140キロ

 前述の通り早起き。ロードパークウェイは8時開門。それまでに脱出すればよい、余裕だ。5:25佐多岬駐車場発。5:55ロードパークウェイゲート着。最短ルートで戻り6:50佐多町市街地着。県道74を行く気にはなれず前日の道を根占町まで戻ることに。さすがに早く起きすぎた。一段落して気がゆるみ、道の駅根占の向かいの海浜公園のベンチで1時間ほど眠る。海沿いR269を鹿屋まで走る。10時を過ぎてこの日も暑くなる。強い紫外線を受け体に熱がたまる。ちょくちょく休む。夏の昼の日差しのおそろしさ。これがずっと続くことに。そろそろ自炊をと思いナフコなどホームセンターに入りガスを探すものの見つからない。これが続く。なかには僕使用のガスだけないことも…。鹿屋からは未到達県の宮崎方面へR2202時前に暑さしのぎへ道の駅くにの松原大崎へ入り隣接の温泉へ。温泉の後は休憩室で高校野球鹿児島大会の決勝を見つつ休む。安楽川を安楽橋で渡り志布志町へ。いよいよ鹿児島県も終わりへ。宮崎県串間市に入り市街地からはR448.山中の道を進むと一台の軽トラがとまり運転手のおじさんが水筒の中の麦茶をくれた。都井岬への道は牛馬保護協力費を払うことになっているが自転車だからか払わずにすんだ。岬までの道は多少アップダウンがあったものの前日の佐多岬に比べればたいした事はない。都井岬に着く。灯台に近づく。すでに閉門時間であり係員に注意され灯台のある敷地内から撤収。その前の駐車場にて昨日に引き続き岬野宿とする。市街地から離れたところにある岬には夜人はほとんどこない。九州ということでコンビニで買ったワンカップ焼酎を飲み就寝。


都井岬灯台

727日 フェニックス  都井岬―宮崎―日向 150キロ


青島

 朝起きるとテントの近くに馬が。与那国島を思い出すなあ。のんびりとした雰囲気のところだ。あちこちに馬がいる。前日来た道を戻りR448へ今度は海へ。ひたすら日南フェニックスロードを北上。朝から日差しが強い。それでも海沿いは風がけっこう強く少しは暑さが和らぐのが救いである。ニホンザル生息地の幸島を途中に見てフェニックスロードの名前にもなっている日南到着。駅前の応援幕にて高校野球宮崎代表が日南学園に決まったことを知る。宮崎市との境目付近でサボテンハーブ園へ。まっぷるには載っていない新道ができていて宮崎市へ行くにはサボテンハーブ園に行く道は少し遠回りという感じになっていた。サボテンハーブ園…には入らず付設の売店に入り麺が緑色のサボテンうどんとサボテンアイスを。サボテンアイスは葉を使った緑色のものと実を使った赤色のものの2種類。単品300円、2つで450円。…ということで2つとも食べる。僕は葉のほうが好きだな。鬼の洗濯岩を見て宮崎市へ。陸繋島の青島へ。天気がいい海岸は海水浴客でいっぱい。さまざまな植物が生育する島を歩いて一周。中心の青島神社には某監督に会えるとかいう文句で蝋人形があるそうな。暑さしのぎに海岸沿いの売店へ。宮崎の饅頭はチーズが入っとります。2時間ほど前に買った白熊(かき氷)は暑さによりすっかり液状になっていた。ここから道はバイパスとなり市街地へ入っていく。このとき2時。暑さはピークに。しかしバイパスは休む場所がない!…強烈な日差しを受け意識は弱まっていく。ようやく市街地に入り店が並ぶようになりその中に温泉が見えたのでなんとかそこへ。助かった。温泉は霧島温泉の湯直送と書いてあったけど本当かな?出てデーリー牛乳を飲み体を冷ます。大淀川を越え高千穂通りを通って宮崎駅へ。駅前には南国の木々が立ち並ぶ。駅内の喫茶店には3人前の白熊がある…挑戦したい人はどうぞ。適当な道を通り海岸一ツ葉道路に抜けシーガイアへ。ゴルフ場、テニス場、45階建てのビルがある一大リゾート施設だ。脇の遊歩道には2000年九州沖縄サミット開催記念碑が。そこから先はR10に出て海の見えなくなったつまらない道を北上。夜は定食屋でチキン南蛮を食べて日向に入り、石並川キャンプ場には行かずにその反対側日豊本線美々津駅前の広場にテント。夜中に急に降り出した雨に閉口。


シーガイアにて

728日 峡谷  日向―高千穂―緒方(竹田の東) 140キロ

 淡々とR10を延岡へ。延岡に入りすぐのととろ駅付近から県道に入り市街地をカットする…つもりであったが行った道は工事による通行止め。その回り道は舗装がなってないよくわからない道を行くことに。なんとか五ヶ瀬川沿いに出て川沿いを進みR218に入る。並走する高千穂鉄道はかなり下を通っている。バイパスとなっている道は結構無駄なアップダウンがあるのかも。北方町観光物産展で日向夏ジュースを飲んだり道の駅青雲橋で昼飯のそばを食べたりして高千穂へ。アーチ橋が迎える。明らかに急な道を下って高千穂峡に到着。緑生い茂る中の川が流れる渓谷は非常に落ち着く。涼しい。次に天岩戸へ。その前の温泉で今日は暑さしのぎ。近くのスーパーで高千穂釜茶を見つける。天岩戸、正直話をちゃんと知っていないとどこをどう見たらいいかわからなかった。そこから竹田に向かおうと天岩戸にきた道をさらに進む。ローカル県道7号線は車がほとんど通らない。売店はもちろんずっとない。アップはそれなりにある。昼時に走ったらやばかったであろう。峠近くになると車はまったく見えなくなった。真っ暗なトンネルを抜けて大分県へ。このとき6時を過ぎており、市街地までは30キロ。…当然ナイトランとなる。まっぷるで小学校の表示がある峠から20キロほどのところまで行ったものの辺りは何もないのでやはり30キロ地点にある道の駅まで行くことに。突然のにわか雨で道の駅手前2キロ地点で30分ほど休んだあと田園地帯にあるやたら広い道の駅に着く。駐車場の隅にテントして寝る。


高千穂峡

729日 大痛  緒方―大分―別府 80キロ


原尻の滝
岡城跡の滝廉太郎像

 起きてまず昨日暗くて見えなかった原尻の滝(豊後のナイアガラ)を見る。原尻めがね橋を見る。10キロ走って竹田へ。岡城跡は入場料がいるらしいが朝早くはそんなことなかった。荒城は山中にひっそりとたたずみその端には滝廉太郎像がある。城跡というとさびしい感じがするけどこういう感じならいいな。朝の散歩をする。R57で犬飼町。町境で前に車が止まりウーロン茶缶をもらう。R10で大分市。バイパスで加速。パンクする。よくみたらタイヤ自体に穴があいているではないか!しかも大きい。パッチを張って応急処置をしたものの不安が残る。駅前にて再びパンクする。大分駅前にはワールドカップ開催を示すモニュメントがある。地方にしてはけっこうPRしているなと思った。大分トリニータがJ2で強いのがわかった気がした。駅にampmが入っているのにおどろいた。駅の店で豊後汁を食べる。郷土料理は食べるとほっとする。市街地のかんたんバス停を簡単に通過したもののR10の高崎山付近で再びパンクし、これはもうタイヤ自体を替えるしかないと思った。パッチももうない。先の別府市街地まで3キロほど押す。市街地に自転車屋があることを期待し交番で聞いたものの、今日は日曜日であり市内のほとんどの店は閉まっているとのこと。仕方ないのでホームセンターに行きタイヤを見つけることを考える。そしてタイヤを購入し、購入した店の前で変えようとしたものの、どうもサイズが合わない。確認して買ったはずなのに…。店員に聞いてみると乗っている自転車が特殊だから合わない、とのこと。返品が可能だった。しかし結局合うタイヤはないらしい。ひとまずパッチを買いなんとか大きな穴を修復し、いざとなったら翌日自転車屋へ、ということにする。どうせここから先はほぼJRに沿うように走るからなんとかなるだろう。日も暮れたのでこの日は別府止まりということにした。ただこの日のうちに湯布院に行き31日の午前に大宰府に着くという当初の計画は崩れることになったが…。それでも夏合宿に間に合うように走るという長期的計画には余裕があったのでゆっくりすることにする。リンガーハットに行き夏限定のゴーヤー&唐辛子野菜ちゃんぽんを食べ、別府ということで24時間営業の温泉に行く。入った温泉は24時間営業なのに仮眠施設はない。温泉を出た後1時間ほどロビーの椅子で寝て従業員に起こされ眠いまま近くの公園に移動し再び寝るのであった。

730日 湯  別府―湯布院 35キロ


白池地獄
海地獄
 市街地の公園は朝から散歩する人が多い。とりあえず地獄巡りに行こうと移動を開始したものの市街地でも西の湯布院へ向かう道は一苦労。そして再びパンクする。このとき8時。自転車屋はまだ開いていないだろう。パンクした地点からは交番が近く、地獄も近かったので地獄を回って時間がたってから交番に行き、場所を聞いて自転車屋に行くということにする。地獄めぐりとは海地獄(青色)、血の池地獄、白池地獄、竜巻地獄(間欠泉)など全部で8ヶ所。そのうち6ヶ所は歩いて回れる近さにあるのでそこを回ることにする。おもしろい、しかしただでさえ暑い夏に熱い温泉を回るのは答えるなあ。白池地獄とか湯気がたくさん出ていていかにも熱そうだし。その一方で海地獄は温泉が海のような色で涼しげだけど100℃あったりする。回ったら9時を過ぎたので交番へ。お巡りさんはわざわざ電話してくれてお店の人を呼んでくれて、僕はその店の軽トラの荷台に自転車を載せて店へ移動。しかしその店はバイク中心の店でありやはりタイヤはない。チューブにパッチを張りタイヤの穴の部分周辺に薄いタイヤを詰めることで応急処置。そして市内のしっかりした自転車屋を教えてもらう。そこへ移動。そこでタイヤを買う。チューブも修理跡だらけだったので一本だけあったものを買う。店の人が言うにはタイヤに穴があいた原因はおそらく低圧で走ったからとのこと。…そういえば初日に鹿児島でのパンク修理がまずかったのかも。
かまど地獄
血の池地獄

竜巻地獄
湯布院市街を展望台から望む

 買ったタイヤを荷に付けてちょっと離れたところにある血の池地獄と竜巻地獄に行き地獄巡りを制覇。売店の 毎日が地獄です とプリントしたTシャツには引かれるものがあったが、買ったらしゃれにならなそうな気がした。そんな風に修理し、回ったら12時。再びパンクしたので穴空きタイヤを処分し買ったものに変え、暑い中県道18号で城島高原に行く。今回のツーリングではここが最高地点だったかも(といっても1000mもない)。高原はわりと涼しい。下ったところの展望台からの眺めはいい。しかしその直前にまたもやパンクとなる。タイヤを替えたのに…今度はチューブの方が限界だ。展望台の売店で道を教えてもらい。下りなのに1時間ほど押し由布院に着き湯布院町唯一の自転車屋である植木自転車屋にて修理。替えチューブはなかったものの穴だらけパッチだらけチューブを修理してもらう。予備も1本作った。そしてそこで暗くなりこの先は峠なのでこの町で野宿することに決定。植木さんに温泉と野宿ポイントを教えてもらう。由布院駅前の店に入り地ビールを飲みつつ地鶏を食べ、ご飯おかわりを薦められたのでしっかり5杯食べる。露天風呂は魅力的であったが遠くの空が光っていたのであきらめ近くの100円温泉へ。それでも満足。そして教えられた駅から1キロの公園みたいなところで野宿。今日も昨日にひき続きあまり走れず。しかしその結果この由布院でこうやってのんびりしているのもけっこういいのかもと思ったりもした。しばらく暑苦しい夜が続いたもののここは涼しい。この時点で目標とした大宰府に時間に間に合うように行けるかは実に微妙、どうなる? (※注 「湯布院」と「由布院」の表示があるのは「由布院町」と「湯平村」が合併して「湯布院町」となったからです)

731日 佐賀した 湯布院―久留米―佐賀 120キロ

 高原の朝は気持ちがいい、しかし自転車はスローパンクしている…。せっかく昨日直したのに…直して空気を入れる。空気を入れポンプをはずそうとしたところ、チューブの空気を入れる部分がポンプにちょうど入りこみ、先が取れてしまった! …それでも一応空気は入り、抜けにくくなっている、そんな状態で走り始める。水分峠を越えR210をだらだら〜と走り昼には日田へ。怪しいチューブに空気を繰り返し入れる。大分と福岡の県境付近にて積算20000を達成!福岡県に入ってからは少し道の流れが悪くなったが引き続きR210を行き久留米へ。本屋に入り店を調べ、久留米インター近くの一味ラーメンで食べることにした。その後久留米大付設高を探そうとするものの、大学付属校は周辺に大学の校舎がたくさんありあきらめる。ここでごまかし使ってきたチューブが限界になったので昨日余分に修理してもらったものと替える。先ほど久留米ラーメンの店を探すのに見た本の中に佐賀県のラーメン屋も載っていたのでそこを目指すことにする。筑後川を渡り佐賀県に入りR264で佐賀市へ。道中やたら田が多く、なんか新潟を思い出してしまった。日が暮れるころ佐賀市街に入り一休軒 鍋島店(佐賀市の隣駅の鍋島駅付近、佐賀県人で知らない人はいないらしい)に入る。佐賀はご当地ラーメンが特にあるわけではないけど、おいしい店は探せばそれに関係なくあるものだ。佐賀の名産を食べる、という話でも有明海ののりやむつごろうを食べるよりはうまいラーメンを食べた方がいいものだ。隣にいて話しかけてきた客は昨日も来ていたとのこと。話しているうちに大学のことなんかも聞かれたので、自分のことを答えるついでに佐賀県から来ている人もいると答えておく。暗くなった市街地を佐賀駅に向かいあてもなく走り、駅近くの図書館脇のどん×3の森という公園で寝る。ツーリング初日からの温泉連続記録はついに途切れた。しかし3日ぶりにちゃんとした距離を走れたことに満足。大宰府ももう近くだ。 

81日 約束  佐賀―福岡―北九州 150キロ

 やはり市街地の公園というのは朝それなりの時間になると散歩する人が出てくるというもの。それに合わせ動き始める。今日まず行くのは吉野ヶ里歴史公園。開園時刻を考えると朝はゆっくりできた。佐賀駅に行き地元名産を探すものの7時前では開いている店も少なく収穫なし。駅から致遠館高校の横を通りR34に入り吉野ヶ里歴史公園に着いたのは8時。しかし開園は9時からであった。ゆっくり休み開園を待つ。そして本日1番目の入場者として入る。公園の敷地の広さにびっくり。時間が早いからツアーの集団客もいなくゆっくり回れた。物見やぐらに登りあたりを一望。今もなお発掘作業が続けられている。再びR34。田んぼの中を走っていた道はだんだんと市街地へ。鳥栖からR3に入ってしばらくは2車線しかないのに交通量多い。ひどいなあ。それでもその先車線が増えると流れは速くなる。そして12時半、ついに大宰府へ到着。早速絵馬を購入し志村の院試合格祈願を書きかける。佐多岬からここに来るまで1週間、タイヤトラブルがあり一時は続行が危ぶまれたものの、なんとか自分の中で決めたリミットに間に合うことができた。


吉野ヶ里歴史公園

大宰府天満宮

 その後梅ヶ枝餅を食べR3に戻りR3を北上、ようやく自炊用ガスを手に入れる。福岡は天神に着き春ツーリング時に引き続き独特の雰囲気漂う一蘭でラーメンを食べる。箸袋にボールペンで記入し替え玉をする。(この店今秋に六本木に出店予定、誰か行かない?) 店を出たころには3時、あとは九州脱出だ。進むとすぐに自転車屋を見つけそこで新品チューブを手に入れる。これでもう走りを心配する必要はない。にわか雨に遭い休みながら進む。福間町で思いがけず温泉を見つけたので入る。R3にうんざりしてR495を進んでいたのだがどこかで道を間違えたらしく目の前の交差点にはR3の表示が…仕方なくR3へ。交通量は多い、しかし流れは速い、7時には八幡へ。休むところない市街地をそのまま進み9時には門司港へ。北九州でも端の方は静かなはず、と思っていたもののレトロ街門司には夜であってもたくさんの人がいて一苦労。少し外れたところにある駐車場脇ベンチで寝る。このツーリング初バーナーを使いラーメンを食べる。ベンチで寝ていたら横にあった自販機が壊されていたらしく疑われて警官に起こされてしまった。ここの手前で対岸の下関の夜景が見えた。ツーリング9日目、合宿までは8日で日程的にあと半分、いよいよ九州脱出だ。

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