NORTH RIDER 

はじめに

 今年はフェリーが安いらしい…それを知ったとき今年のうちに北海道に行っておこうと思い、ツーリングの舞台を北海道にすることにした。しかしこれまで多くの県に行き、多くの地元名産をさがす、といったツーリングスタイルをとってきた自分にとって、何日もひとつの 北海道 にとどまるにあたり走り方になやんだ。北海道っていってもどこに行こう?そんな疑問をもちながら北海道マップルを買って見たとき、とりあえず端に行こうかと思った。で、走るなら道北か道東がいいらしい。なんとなく最北端(宗谷岬)より最東端(納沙布岬)の方が果てという悲しさ、寂しさがありそうで心がひかれた。苫小牧ついたらとりあえず最東端行って…網走あたり通って…苫小牧に戻ってこようかな?……最東端に行くこと以外はコースが漠然としたまま、北海道にのりこんだのであった。

7月31日 長いはじまり

 準備をして午前0時、家をでて部室にむかう。部室にいた木下、植木、濱崎としばらく4人で時をすごしたあと、3時すぎに植木と濱崎に見送られて木下とともに部室をあとにする。この時間だと都内とはいえ車も少なく暑くなく快適(?)だ。上野まで行き始発の常磐線に乗って即寝。2時間近く電車に乗って水戸へ。ここから大洗のフェリー乗り場まで10キロほど走る。朝なのにわりと暑い。そういえば2週間ほど自転車乗ってなかったな。ついた時間がけっこうギリギリだったので輪行せずにそのままのる。佐渡汽船、南海フェリーといった中距離フェリーしか乗ったことなかった僕にとって初めての長距離フェリー&移動。出航してどんどんと陸地がはなれていく…電波がきれる…ひまになる…ひまだよー! 苫小牧までフェリーで20時間の移動。昨日寝ていないこともありただただ寝る。

8月1日 暑いほっかいどー   166キロ


日勝峠より十勝平野を望む
 目がさめるとなんだか寒い、外を見ると陸地が近づいてきている。いよいよ上陸。しかし寒いなあ。北海道は夏でもこんな感じなのか。走り始めるといきなり広がる長い広い直線道路。これが北海道なのか。少し進んだところでローソンを見つけて初の買い出し。ハムトウガラシパン(日糧パン)なんてものがあったので思わず買ってしまった。しかし道は単調だ。40キロほど走ったところで木下と別れいよいよ一人旅の始まり。時間がたつにつれ次第に暖かくなっていく…というか暑い、暑いよー! 北海道ってもっと快適じゃなかったの?朝の寒さはなんだったんだ?夕張で炭ころアイスというものをみつけたので注文してみる。ソフトクリームの上に角上のコーヒーアイスがのったものだった。暑いのにここからしばらく水分補給ができなくて苦しむ。ようやく自販機をみつけたので買おうとすると後ろからおじさんに声をかけられ、向かいのラーメン屋に入るといい、水ももらえるから、といわれる。マップルにものっているといわれたので見るとたしかにのっている。
樹海苑で樹海ラーメンをたのむ。店内にはライダーの写真がたくさんあった。ラーメン食べ終わったらメロンをくれた。ペットボトルに水を入れていっていいといわれたのでありがたくもらう。その後日高まではのぼりが2ヶ所あったがいわれたとおりラーメンの力でのりきり道の駅日高につく。ここで夜の分の買い出しをして出たのが4時、帯広へむかう。日勝峠を明るいうちに越えられるか多少不安があったものの、進むことにした。この時間でも暑さはまだ残っていて飲み水はすぐに少なくなった。かといって給水ポイントもないのでここで野宿をしても水に困ると思い、無理をしても越えることにした。日没少し前に峠を越えて途中にあったキャンプ場へ。キャンプ場についたときにはもう暗くなっていた。キャンプ場は有料だったけど風呂に入ることができた。なぜか五右衛門風呂だったけど。初めての自炊はレトルトカレーにする。ごはんがうまくたけないものだ。こんな場所でケータイが通じることに驚き早速メールを送るのであった。そーいえば今までのツーリングではあまり連絡をとらなかったから機種変によりメールを送れるようになったのは大きいな。初日から1000up以上をこなし暑かった割にはよく走ったものだ。しかし昼は暑くても夜はけっこう冷えて寝袋を使った。

8月2日 暑いよー   136キロ

暑さを感じて目がさめる。まだ6時台なのに…今日も暑くなりそうだ。パンを食べ出発する。峠の途中で野宿したので出発してしばらくは下りだった。帯広の市街地に入ると信号の地名の表示が 北○西○ という感じになる。なるほどこのへんが開拓された地であることを表しているのか。帯広駅前にいき豚丼の店 ぱんちょう に行くと店は11時からだった。六花亭本店に入りレアチーズケーキを頼み無料のコーヒーを飲みながら開店をまつ。11時5分前に店に行くとすでに4,5人の列ができたいたが待たずに入ることができた。注文をすませて待っているとなにやら機材をもった人たちが店に入ってきた。何とテレビ取材の人たちだった。取材がくるなんてすごい。はたして私は映ったのか?豚丼うまいー!食べて満足して店をでて進むも…暑いっー!体があついっ!コンビニで1時間近く休む。暑さはきびしくけっこう休み休みR38を進み海沿いにでる。この辺から 返せ!北方領土 ノサップ岬まであと○○キロという表示がでる。明日の夜中に納沙布につきたかったので今日のうちに距離をかせぎたかったものの暗くなり、さらに霧がでてきて視界がわるくなってきたので無理せず日没後すぐにきりあげる。道路脇の簡易なつくりの建物の下にテントを張る。数年前におきた地震に関しての記事がはってあった。道路脇でそれなりに交通量もあり夜でも少しうるさかった。
帯広駅

8月3日 衝動   234キロ


釧路駅

←の右下拡大図
946=???ですか?

奥に見えるのが釧路湿原
 距離かせぎのため5時起き6時出発。しかしいくら今日中に納沙布に行くにしても押さえるところは押さえるということで1度R38をはずれ釧路湿原展望台へ。開館を10分ほど待ってから中に入る。中では湿原の生態や四季の様子が説明されていた。展望台からみた湿原は少し遠かった。釧路駅前の市場でまずごはんを買ってから丼のネタをいくつか選んで買ってのせて食べる 勝手丼 を食べる。サーモンがおいしかった。そして爆走開始。この日も少し暑かったがけっこういいペースで進めた。釧路からずっとR44を進んでいたが翌日半島から戻るのに違う道を通りたいということと霧多布岬の方へ行きたかったのでR44をはずれMGロードという湿原の中の道を通り海岸近くへ。そして霧多布及びマップルにのっているコーヒー牛乳の店にたどりつく。こんなことをしているから時間はすぎこの時点で4時。根室市街まであと60キロのところで道道142に入る。入るとすぐにキャリアのねじが片方はずれる。とりあえずもっていた代わりのねじをつけたものの不安をかかえながら進む。この道車がほとんど通らないのはいいけどアップダウンがけっこうあり霧が少しでていて自販機がずっとない。しかし思う以上に足は進んだ。アップダウンが終わると今度は防霧林が続く。この途中で日がくれる。それでもアベレージも気力もおちなかった。工事中によるじゃりダート区間もあった。暗い大平原のなか一人進む。ある衝動がそうされるのだとわかった。それは近づくにつれてより大きく、はっきりとしたものとなっていく…。根室市街地にはいり銭湯をみつけたのでひとまず休憩。3日目にして洗濯をする。日焼けのあとがいたい。この時点で200キロを越えていて自分でも未知の領域にはいっていたが今日の夜中につきたかったから10時すぎに再出発。平和の塔の光をめざし暗い中進むこと20キロ、日がかわる直前に納沙布に辿り着く。

厚岸湾

売店のみで
中には入れず

MGロードは湿原の中

霧多布岬

納沙布岬
辿り着いた最東端の地…夏なのにかなり寒い…果ての地がもつ寂しさ…その静かな地にひっそりと遠くを見つめるか如くたたずむ平和の塔、納沙布岬灯台、海の遠くに見える光…夜の海の青さと打ち寄せる波の音が一層寂しさを誘う…想像以上のところだった…思ったとおり夜がいいところ…ずっと走ったかいがあった…そして……この地で夜を明かすことに……。

8月4日 雨と疲れ  124キロ


別海町は日本一の酪農町
4時に一回起きて最東端の日の出を見て再び寝る。7時に起き夜には見えなかった北方領土をみてから最東端の店鈴木食堂でてっぽう汁とサンマ丼をたべる。店内には書置きがいっぱいあった。みやげ物店に入りステッカーと最東端到達証明書を買う。気に入ったので早速ステッカーを自転車にはる。資料館があいたので入る。昨日の疲れが残っていたし、少し雨が降っていたのでだらだらと9時出発。昨日とは別ルートで市街地にもどり最東端の東根室駅と終点根室駅にいったあとR44でさらに半島をもどる。昼飯はバターライスにトンカツとデミグラスがかかったエスカロップをたべる。あまりやる気はあがらない。やはり昨日の疲れがあるのだろう。この日は中標津の開陽台まで行きたかったけど別海町に入ると霧がでてきてさらに開陽台の手前で雨が降ってきたので断念。星空をみたかったのに。雨が激しくなったので公衆トイレが近くにあるところにテントをはる。

8月5日 白い世界  133キロ

 雨があがるのを待つも雨ははやまず10時出発。とりあえず開陽台にいくも霧がこくて遠くはみえず。地球が丸くみえる が歌い文句なのに…売店のノートに 地球は白かった と書き残す。摩周湖に行くとちゅうにある 牧舎 でヨーグルトきのこの飲むヨーグルトとじゃがいもパイを食べる。清里峠を越えから裏摩周展望台に行く道はえぐい。しかも登るにどんどん霧はこくなり展望台からは湖の存在すらみえなかった。せっかく登ったのに…いくら霧の摩周湖といってもひどいなあ。すっかりまいってしまい近くの神の子池に向かう気はなくなった。網走に向かう途中夕立にあったので小清水温泉でひとやすみ。雨上がりを待ち入浴。出るころには雨はあがっていた。網走めがけナイトラン。原生花園の脇を通る。それほど道は暗くなく網走駅前には8時半着。マップル掲載の れもん亭 で海賊ピザと網走産ミルクをたのむ。店内には観光パンフがいっぱい。ここにもノートがあったので名をのこす。この日は網走湖畔の呼人浦キャンプ場におちつく。隣の花火がうざかった。
摩周湖も白かった

地球は白かった



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